聴力を保護する筋肉:鼓膜張筋

他人のくしゃみの音は大きいのに、自分のくしゃみはそうでもなく、自分で食べるサクサクしたものは、体感音量はそれほど大きくないのに、他人が食べるととても響く。これはおそらく 鼓膜張筋 が背後で音量を下げているからで、鼓膜張筋は収縮する際に、ツチ骨を鼓膜から引き離し、その振動能力を制限する。

首や顎の筋肉が高度に緊張しているとき、例えばあくびをするときにも、鼓膜張筋が収縮することがある。鼓膜張筋の収縮は約 10-70 Hz の低周波音を発生させ、自分自身で聞くことができ、何らかの轟音のような音として聞こえる。これは聴力を雷の音から保護するために生まれたメカニズムであると推測する人もいる。

しかし、身体は常に誤りを犯すもので、元々は反射的な自動メカニズムであるものが、少数の人に自主的に制御されることがある。これには何の利点もなく、おそらく研究者に対して、鼓膜張筋の効果を研究するための、より完璧なサンプルを提供する程度だろう。その結果、鼓膜張筋は 250 Hz の低周波音に対して 30 dB 程度の遮蔽効果があることがわかった。これはかなりすごい。

鼓膜張筋は反射、自主的な制御の他に、制御不能な状況もある。鼓膜張筋症候群(tensor tympani syndrome、TTS)はこのような状況であり、当事者は耳鳴りのように、鼓膜張筋が制御不能な間代を起こす。幸いなことに診断方法は簡単で、医師は聴診器で耳の近くで筋肉の収縮音をチェックするだけで良い。

追伸 : TTS は治療可能で、例えば鼓膜張筋に筋弛緩剤を使用したり、ボツリヌス菌を使用して鼓膜張筋の間代を阻止したり、手術で鼓膜張筋またはアブミ骨筋腱を切除したりする。ただし、上記の操作を行うと、鼓膜張筋が鈍くなったり、機能しなくなったりする可能性があり、聴覚過敏 につながる可能性がある。耳栓やノイズキャンセリングヘッドホンは、鼓膜張筋の代わりになるのだろうか。

追伸 2 : gledos は強めに目を閉じるだけで、鼓膜張筋を収縮させ、轟音を聞くことができる。

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